N's Diary とある護衛のストーカー日記



02



ルーナ様の護衛の任についてから、早ひと月が経った。
その短いような、長い月日の中でわかったことがある。

まだ一歳の姫君に護衛が必要なのか?


答えは必要なのだ。主人は正しい。


公爵家のお子様たちは皆、ご両親に似て見目麗しい。
その中でもルーナ様は規格外というか、なんというか……。
当然公爵令嬢という身分もだが、その容姿もまた狙われる一因でもあった。

もちろん幼い姫君を一人にするわけではない。普段から子守もついている。
それでも無頼の輩が力ずくで来たらきっと守り抜くのは難しい。

だから私の出番なのだろう。


それにしてもルーナ様には赤子にありがちな、人見知りというものがない。
ほら、今日も無邪気に微笑まれては周囲を魅了している。



そして今日。
ルーナ様は健やかなお昼寝の時間だったのだが……。


こら、そこのメイド!
今さりげなくルーナ様のつるつるほっぺをツンツンしたな!

私もしたい……いや、げふんっ



とにかくルーナ様をツンツン攻撃から守らねば!
せっかくのお昼寝から目覚めてしまわれるではないか。


私は数ある特技の中の一つ。
声帯模写でもって、メイドの上司の声で彼女の名前を呼んでやった。
ビクッとしながら部屋から出て行くメイド。フッ……。



こうして、今日もルーナ様の眠りは守られた。





- end -

ブログからの転載です。ちょっぴり加筆修正。
ルーナ一歳になぜ護衛(しかも隠密)が必要なのか、の見解